先日、おもしろい記事を発見しましたので、ご紹介いたします(*´∇｀*)

今から約５０年前、上野動物園に『一文字号』というロバがやってきました。

一文字号は昭和１４年（１９３９年）日中戦争のさなか、中国の一文字山にちなんで

一文字号と名づけられ、物資輸送で活躍していました。

年老いたため、老後は安らかに過ごさせようと昭和１６年（１９４１年）に

上野動物園に寄贈されました。

動物園では、子供たちを乗せた馬車を引き人気を集めていましたが、昭和３７年（１９６２年）

一文字号が２７歳（人間でいうと９０歳近い）のある日、ポップコーンをノドにに詰まらせ、

死にそうになりました。歯が悪かったことがポップコーンをノドに詰まらせた原因でした。

普通ロバは牡４０本、牝３８本の歯があります。一文字号は牡ですが、この時すでに

上下の前歯１６本のうち２本だけがあるだけで、そのほかの前歯は根しかありません。

奥歯は幸いにも２４本残っていましたが、だいぶ磨り減った状態でした。

動物園の人たちは、何とか一文字号にもう一度噛めるようにしてあげたいと思いました。

 「ロバに入れ歯を作ってほしい」と東京医科歯科大学助教授で青山に開業していた

石上健次先生にお願いすることになりました。

石上先生は、最初一文字号を診察した際、様々な不安を持ちました。

入れ歯を入れるために不都合な歯があったのです。

しかし、その歯を抜くと、高齢のためにショックを起こす可能性がある。

一度檻に入れて歯を削ったりすると、次は絶対に檻に近づかない。

このような状況を繰り返し、何回も口の中を触れることが出来るかどうか・・・。

型を取る間おとなしくしてくれるのか。

型が取れたとしても、入れ歯を入れて噛めるのか。

しかし、そんな心配をよそに型を取るのは、気に入ったのか

おとなしくジッと固まるまで待っていたそうです。

そして、義歯作りに石上先生は没頭しました。

ロバの人工歯がないため、他のロバの写真を見ながら歯を作り

２ヶ月半ほどかかりましたが、入れ歯が出来上がりました。

一文字号に入れ歯を入れたときのことを石上先生はこう述べています。

『多くの期待と興味の中で義歯の装着を行った。驚いたことに人の場合では

新しい義歯を装着したら慣れるまで固い物は食べられないことが多いが、

一文字号は義歯装着後、約１５分で子供たちの差し出した青草をバリバリと食べて

見物客を喜ばせた。噛めることは動物であれ、人間であれ生きる喜びなのだと

実感させられました。』

その後、一文字号は元気を取り戻し走り回るようになったのでした。

噛めることの重要さを教えてくれて、周りを笑顔にさせてくれたロバの一文字号のお話でした。

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